【資料紹介79】成瀬誠志作 陶製「陽明門」:滋賀県で陶片発見

更新日:2021年06月24日

滋賀県で所蔵されていた陶片が陶製「陽明門」の一部と判明

滋賀県工業技術総合センター信楽窯業技術試験場所蔵の陶片が、苗木遠山史料館が所蔵する、中津川市出身の明治の名工・成瀬誠志作 陶製「陽明門」の一部であることが、同試験場の調査により判明しました。

同試験場ではこの陶片が以前から収蔵されていて、陶製「陽明門」の一部ではないかといわれていましたが、同試験場および滋賀県立陶芸の森の職員が当館を訪れ、「陽明門」の破片を実見し、持ち帰って成分分析を行った結果、陶製「陽明門」の一部であることが明らかになりました。
 

陶製「陽明門」陶片(門扉)

左:信楽窯業技術試験場所蔵陶片

右:苗木遠山史料館所蔵陶片

成瀬誠志(なるせ せいし)

弘化2年(1845) 恵那郡茄子川村(現 中津川市茄子川)に生まれた陶芸家です。

若いころから郷土茄子川の陶器の製作に従事し、明治4年(1871)に上京すると薩摩焼の上絵付の技法を習得し、東京薩摩と呼ばれる金彩を伴う絢爛豪華な薩摩焼の焼物を製作し大成しました。

陶製「陽明門」

誠志は、明治17年(1884)頃日光を訪れた際、東照宮の陽明門の美しさに感動し、陶器で作ることを決意しました。
明治19年(1886)に郷里茄子川に帰るとその制作に取り掛かり、実物の1/25の大きさで3年の歳月をかけて完成しました。

その出来栄えが大変素晴らしいものであったため、明治26年(1893)のシカゴ万国博覧会に出品することになりました。
しかし輸送中に船の中で荷崩れし大破してしまったため、やむを得ず破片の一部を出品しましたが、多くの賛辞を得て、工芸一等賞を受賞しました。
 

陶製「陽明門」(屋根部分)

陶製「陽明門」屋根部分(苗木遠山史料館所蔵)

中津川市苗木遠山史料館

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