【資料紹介96】大名・遠山家藩主の肖像画
大名遠山家藩主の肖像画
苗木藩大名遠山家には法要のための御影(みえい)(肖像画)が軸装されて11代までが現存しています。(史料館所蔵)
藩主が率先して遂行した「廃仏毀釈」で遠山家菩提寺雲林寺は明治3年、廃寺とされますが京都妙心寺から派遣された住職剛宗(ごうしゆう)和尚が還俗(げんぞく)を拒否するので、苗木藩では仏具など所有のまま退去させました。肖像画群も、和尚と共に、法界寺(下野)・高徳寺(蛭川)・だいぞうじ大蔵寺(白川町)と所在を移し、昭和初期に塚本元町長の尽力で、苗木に帰ることになり、旧居雲林寺跡(現遠山史料館)へ戻っています。
これらの画軸を描いた京都の画工からの製作見積書が最近の目録作業で遠山文書から見つかりました。
安永元(1772)年2月9日付で京都妙心寺系の画工水谷法橋憬南(ほうきようさとなみ)から、前年明和9(1771)年6月13日に卒去した7代遠山友央(ともなか)(諦心寺殿(たいしんじでん)興山(こうやま)定隆居士(ていりゆうこじ)67歳)の軸装「従五位下(じゅごいげ) 束帯御影 1幅 上々絹地 1尺7寸巾」を作法通り念入りに描いたと言葉を添え、画料金2両・表具料金1両2分と見積もりを出しています。
一般に1両が20万円と言われるが、当時はまだ安定した時代なので、おそらく今で云えば60万余円程を支払ったのでしょう。
第3代遠山友貞(1675年卒去)の御影軸装から、下部の模様(海と岩)がほぼ同じなので、100年前から代々同じ画工に依頼していたと思われます。
3代 遠山友貞 御影
7代 遠山友央 御影
中津川市博物館だより 恵那山 2025Vol.26.No.3掲載分
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更新日:2025年11月06日