【資料紹介90】八大龍王のこと
辰年なので、苗木城山の中で辰(龍)を思うと、城の白壁を剥がして赤壁にした龍(伝承)がまず浮かびますが、苗木城跡で他の龍を見ると、江戸時代は足軽長屋奥の1龍王院(跡)・その裏高場の2龍王ごんげん権現(現在は高森神社)・南へ少し下った処の3古龍王八幡宮(跡)がありました。
これらの龍王は正確には八大龍王といい、仏陀が法華経を説法した時、列座した8種の龍の王(伝承)とされ、中でもばから婆加羅龍王が雨乞いの水神で、水耕や防火を祈願して尊重され祀られました。
(1)龍王院は高野山(弘法大師 真言宗)常慶院の末寺で、住職は法印と呼びます。遠山家の祈祷寺ですが、隣接する。
(2)八大龍王権現の別当(管理)を兼ねました。龍王権現はたまよりひめのみこと玉依姫命を祀り、毎年8月28日を祭日とし賑やかに祭が行われました。権現は仏菩薩が民を救うため日本の神に姿を変えてこの世に現れたものと云われます。
(3)古龍王八幡宮ははじめ本丸にかんじよう勧請されていましたが明和9(1772)年におした御下の林の中に移されました。
明治初年の神仏分離令で、(1)龍王院は廃院となり、(2)龍王権現は高森神社に改められて、(3)の古龍王と共に高森神社に合祀されました。
大正時代になり、古龍王八幡宮は有志の方々により城山本丸に再建されて現在に至っています。
八大龍王で結びついた社祠三つの跡が廃仏毀釈以前の苗木の一景を思い起こさせます。
この文を読んで、龍と龍王は別物ではないかと、ご不審かも入れませんが、どちらも架空の生き物で、辰年で連想から結びついただけと容赦下さい。
資料調査員 千早
中津川市苗木遠山史料館
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更新日:2024年04月01日