【資料紹介86】藩主も安子穴を見た!

更新日:2024年03月09日

藩主も安子穴を見た!

  苗木城下近くで、不思議な遺跡と云えばまず安子穴でしょう。しかし、名前は聞くけれど見たことがない人が大半で、若い方では名も聞いた事がない人もいるでしょう。
苗木の風物に関心のある人には、是非とも一見していただきたいものですが、簡単には行けない危険な場所ですので、充分用心して数人組で行くことをお勧めします。
木曽川から付知川を上り、狩宿川と合流する地点から付知川を600mほど遡(さかのぼ)ると、川の両側とも急な岸壁に囲われています。高さ70m程の急峻(きゅうしゅん)な崖を登ると、崖の中腹ほどで安子穴に辿(たど)りつきます。
  11代藩主遠山友(とも)寿(ひさ)(当時28歳)は、文化11(1814)年11月23日の苗木日記にこう記しています。
「九ツ時(正午)過ぎより近辺へ殺生(せっしょう)(狩り)に罷(まか)り越した。津戸ヤスカ穴を見物致した。大変な所なり。穴は奥行き8間、口広は巾2間余り」
今から210年前はヤスカ穴と呼んだのでしょうか。
安子穴は、安子という妊婦が赤子を産んだとか、安造という盗賊が住んだとか、諸説ありますが、どれも伝承に過ぎません。とても妊婦が登れるような崖ではありません。
  遠山友政が小牧長久手の戦いで敗れ、この穴に隠れたところ、白い犬が鳴くので見ると白い馬が居て、その馬に乗って逃げたという味な説もあります。ただし、馬どころか犬だって穴に近づくのは困難でしょう。
  安子穴は穴というより立派な洞窟です。実際に洞窟に入り、暗闇から入口を振り返ると入口の上に奇妙な穴が見えます。恐らくこれが安子(安産)祈願の由来なのでしょう。

 

                                                     安子穴の入り口

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