【資料紹介83】 馬の図・牛の図

更新日:2022年09月30日

馬の図・牛の図

 

苗木遠山史料館には、江戸時代初期の正保4(1647)年、夕顔庵宗渉が描いたという古い巻物3本があります。そこには馬の図・牛の図が描かれています
  それとは別に、それから158年後の文化2(1805)年に描かれた新しい巻物2本(()(おう)物色図・牛馬図解)もあります。これは先の古い巻物を模写したものらしく、画は苗木藩士(恵山)、書は水野(龍淵)が写したものです。

最近、馬の図・牛の図を所有するという他県の方から照会があり、早速、その1本と先の5本、合わせて6本の巻物をずらり並べて比較することになりました。  どうやらこれらの巻物は、江戸時代初期に幕府の馬預かりとして仕えた旗本黒沢定幸が編輯(へんしゅう)した「物色図説」が原典のようです。「物色図説」には、幕府に集められた馬98頭と牛14頭(計112頭)の漢名・和名が列挙されているようです。
  そのことを念頭に置いて、6本の巻物を比較してみると、古い巻物は3本で馬・牛合わせて112頭、新しい巻物も2本で112頭と、「物色図説」と一致しました。照会のあった1本は、馬41頭と牛14頭で、当館所蔵の新しい巻物2本のうちの後半1本と同数でした。
つまり前半部分の1本は別にあるということではないでしょうか。
 

館所蔵

古い巻物

3本

馬37

馬61

牛14

 

他県からの照会

中古か

1本

(未見)

馬41

牛14

 

館所蔵

新しい巻物

2本

  馬57

馬41

牛14

 

         馬の図
上:古い1647年の図
下:新しい1805年の図

馬・牛の姿もほぼ同形で、

何らかの関係があると考

えられ、古い巻物を見本

にして描いたのだろうと

想定できます。現在、私
たちは、必要な画像は撮
影やコピーで入手します
が、江戸時代は見本や原
画を克明に筆写すること
で入手したようです。

 

         牛の図
上:古い1647年の図
下:新しい1805年の図

当館では、他にも同じような例が2例あります。その原画と筆写画を同時に観られるのも醍醐味ではないでしょうか。                  

 

中津川市苗木遠山史料館

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