作品紹介「月唱」

更新日:2023年06月14日

東山魁夷画「月唱」

月唱(東山魁夷)

月唱(木版画)

北海道の然別湖しかりべつこの取材をもとに描かれた「月唱」は、鏡のような湖畔の水面に対岸の山と月が倒影され、静寂に満ちた神秘的な雰囲気が漂っています。
東山魁夷は、訪れた湖畔の宿からこのような光景と出会いました。そのときの感動を「空と水に二つの月が唱和して、心鎮まる夕べであった」という言葉で綴っており、この作品の題名にも反映されています。

青を基調として、ほんのりと明るみを帯びた夜の静かな風景からは、画家の澄み切った心が感じられます。「青色は精神と孤独、憧憬と郷愁の色。悲哀と沈静」と魁夷自身が語っているように、青の風景は、様々な感情を抱かせながら、観る者の心の奥底に感慨深く沁みこむかのようです。

こちらの作品は、現在開催中の第Ⅲ期展「月明―幻想の世界」で展示しています。今回の企画展では、静けさに満ちた月夜の風景を中心に、幻想的な作品を紹介しています。魁夷の描く幻想の世界について、思いを巡らせていただければ幸いです。

おしらせ

中津川市子ども科学館では、10月8日(土曜日)と11月8日(火曜日)に「秋の星を観る会」を開催します。
東山魁夷の絵を鑑賞してから、実際の夜空も見上げてみませんか。魁夷が描いたような静かで心が休まるような月が輝いているかもしれません。

群青

「青の画家」としての印象も強い東山魁夷の深みのある青色は、主に群青(藍銅鉱)という鉱物が使用されています。日本画家は、このような鉱物を砕いて、細かく磨り潰し、さらに膠という接着剤を混ぜて、和紙や絹などに絵具を定着させて絵を描いています。

群青(藍銅鉱)は、中津川市鉱物博物館に常設展示されていますので、ぜひご覧ください。

中津川市東山魁夷心の旅路館

〒508-0501 岐阜県中津川市山口1-15
電話番号0573-75-5222
ファックス0573-75-5225
中津川市文化振興課あてメールによるお問い合わせ