作品紹介「月唱」
東山魁夷画「月唱」

月唱(木版画)
北海道の然別湖の取材をもとに描かれた「月唱」は、鏡のような湖畔の水面に対岸の山と月が倒影され、静寂に満ちた神秘的な雰囲気が漂っています。
東山魁夷は、訪れた湖畔の宿からこのような光景と出会いました。そのときの感動を「空と水に二つの月が唱和して、心鎮まる夕べであった」という言葉で綴っており、この作品の題名にも反映されています。
青を基調として、ほんのりと明るみを帯びた夜の静かな風景からは、画家の澄み切った心が感じられます。「青色は精神と孤独、憧憬と郷愁の色。悲哀と沈静」と魁夷自身が語っているように、青の風景は、様々な感情を抱かせながら、観る者の心の奥底に感慨深く沁みこむかのようです。
群青
「青の画家」としての印象も強い東山魁夷の深みのある青色は、主に群青(藍銅鉱)という鉱物が使用されています。日本画家は、このような鉱物を砕いて、細かく磨り潰し、さらに膠という接着剤を混ぜて、和紙や絹などに絵具を定着させて絵を描いています。
群青(藍銅鉱)は、中津川市鉱物博物館に常設展示されていますので、ぜひご覧ください。
中津川市東山魁夷心の旅路館
- 〒508-0501 岐阜県中津川市山口1-15
- 電話番号0573-75-5222
- ファックス0573-75-5225
- 中津川市文化振興課あてメールによるお問い合わせ
更新日:2023年06月14日