《苗木城周辺の自然12》〜甘茶(アマチャ)〜

更新日:2023年07月14日

あまちゃ

甘茶(アマチャ)の花

アジサイが咲くころ、甘茶(アマチャ)の花も満開を迎えます。甘茶(アマチャ)とは、ユキノシタ科のガクアジサイによく似た樹高80cmほどの木の葉を揉捻、発酵、乾燥させたお茶です。普段私たちが飲んでいる煎茶や抹茶などの原料であるツバキ科のお茶の木からできたものとは別のものです。アマチャは、日本の中部山地にまれに自生するユキノシタ科の落葉性の低木で、葉を生薬として用います。ちなみに、名前の似ている「アマチャヅル」はウリ科の植物で、甘茶(アマチャ)とは全く異なる植物です。
甘茶(アマチャ)は、ヤマアジサイの甘味変種で、ヤマアジサイの甘味のある成分変異株が民間で発見されたものとされています。歴史はまだ新しく、江戸時代あたりから民間薬として利用され始めました。
もともと葉に含まれている苦み成分「グルコフィロウルシン」が酵素の作用で分解されると「フィロズルチン」という甘味が強い成分に変化するそうです。 つまり天然の甘味料です。
甘味成分のフィロズルチンは、砂糖の200~1,000倍の甘さと言われています。

4月8日は「花まつり」(釈迦の生誕を祝う仏教行事“灌仏会-かんぶつえ-”)の日として、仏像に甘茶(アマチャ)を注いで参拝する慣わしがあるそうで、そのため寺院の庭先などで多く見かけることができるそうです。苗木藩は幕末の頃、廃仏毀釈で仏教に関係するものを壊してしまいましたが、その前は仏教を信奉していました。城跡に甘茶(アマチャ)があるということはこれを利用して仏教行事に使っていたのかもしれません。城跡を訪れた際は、甘茶がどこに咲いているか探してみてください。真っ白なアジサイによく似た花が見つかります。

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