⦅資料紹介27》青楼絵本年中行事

更新日:2025年06月11日

青楼絵本年中行事(せいろうえほんねんじゅうぎょうじ)

吉原青桜年中行事

右側『青楼絵本年中行事   乾』間家資料目録No.237  1804(享和4)年    左側『青楼絵本年中行事   坤』市岡家資料目録No.補218   1804(享和4)年    十返舎一九著、喜多川歌麿画

吉原遊廓の年中行事を記した書です。上巻の乾には「仲の町年礼之記」をはじめ九つの行事、下巻の

坤も「文月之記」をはじめ九つの行事が十返舎一九の文章と喜多川歌麿の浮世絵により著されています。

仲の町年礼之記

年礼の記

「仲の町年礼之記」では門に正月の松かざりが飾られ、右頁に重なった山に●印のヲイランが佇みその隣にはバンシン1、シンゾウ2、カムロ3を従えています。左頁にも重なった山印のヲイランがバンシン、カムロを従えています。その他にゲイシャ4、大コクマイ5の囲み文字が確認できます。

師走の25日からはどの妓家にも松かざりが飾られ、正月2日は契情6(けいせい)の年礼として、美しい初衣装を着て年始の挨拶をしつつ、江戸町から京町まで歩きます。

ヲイランの高級な打掛のたもとはカムロが抱え、羽子板とともに輝き、大黒天の面をつけ赤い頭巾をかぶり打出の小槌を持って門口に立って舞う大黒舞の姿と共に正月の平和で賑やかな風景が描かれています。

1・・番頭新造の略。江戸吉原の遊郭で上位の遊女の諸事世話をする新造の位の女郎。

          普通の年若い新造とは違って世事に長じた年輩の女郎。

2・・近世前期、新しく出た遊女。勤めに出て間もない遊女。

          近世後期、遊里で「おいらん」と呼ばれる姉女郎に付属する若い遊女の称。

3・・(太夫・天神などの)上級遊女に使われる10歳前後の見習いの少女。

4・・多芸な人、遊芸に巧みな人。

5・・室町時代に発生し、近世にかけて行われた門付け芸。仮面をかぶり頭巾をつけて

          大黒天の姿をして門戸に立って新年の嘉祝の詞を述べ唄い舞うもの。

『広辞苑第5版』

6・・遊女・女郎。近世には特に太夫・天神など上位の遊女をさすことがある。

『日本国語大辞典』

 

中津川市中山道歴史資料館

〒508-0041 岐阜県中津川市本町二丁目2-21
電話番号0573-66-6888
ファックス0573-66-7021
メールによるお問い合わせ