⦅資料紹介25⦆柳髪新話浮世床
柳髪新話浮世床(りゅうはつしんわうきよどこ)
『柳髪新話浮世床 』 式亭三馬著 間家No.補638
1813(文化10)年 鶴屋金輔、柏屋清兵衛 繍梓
江戸時代末期に小説の一種である滑稽本を著した式亭三馬の『柳髪新話浮世床』を紹介します。滑稽本とは江戸町人の日常生活を題材としてその滑稽ぶりを描いたものです。1813(文化10)年、初編上・中・下巻。1814(文化11)年、二編上・下巻が刊行されています。当館は初編の下巻のみ所蔵しています。
江戸っ子の生きの良い話口調で著され、当時の会話が今まさに眼前で繰り広げられているように感じます。びんさんの髪結床へいろいろな人物がひっきりなしにやって来て世間話をしています。主人の順番を予約するためにやって来た、いたずら丁稚とびんさんとの一幕。びんさんが「ヤイヤイよさねえか、このでっちはよくいたずらをしやがる。」でっちは「よくいたずらをするならしかりなさんな。悪くいたずらをするなら叱るがいい。」びんさん「くちのへらねえがきだ、それみろあんまりいたずらをするから着物は鍵裂(かきざき)だらけだ。」と、その後、びんさんの弟子のとめと言い合いをして丁稚は帰って行く。その後も軽快な話し口調で物語は進みます。
江戸時代の日常を垣間見ることができるとても貴重な資料です。
式亭三馬は文筆によって生計を立てることが出来ず、家業の薬屋のかたわら副業として文筆を行っていました。1
家業の薬屋から発売された「江戸の水」という化粧水はヒット商品になりました。『柳髪新話浮世床』の初編上には「式亭家伝 御歯みがき」の宣伝がされています。
1...広瀬朝光 『戯作から戯作評判記の成立まで』
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更新日:2025年03月27日