⦅資料紹介13⦆馬島靖庵と種痘

更新日:2022年10月03日

馬島靖庵

馬島靖庵(まじませいあん)は、文化8(1811)年、苗木藩の御典医水野自牧(じぼく)の子として生まれ、天保7(1836)年に中津川新町で開業した医師で、島崎藤村の小説『夜明け前』に登場する宮川寛斎のモデルにもなった人物です。


医師を本業としながらも、漢詩・和歌・俳句に精通し、国学者の平田篤胤没後の門人として、間秀矩・市岡殷政・島崎重寛らを指導しました。中津川の文化面における教導的存在でした。


医師としては、馬籠、木曽、飯田等へも往診に出かけるなど、その往診範囲は国をまたいだ広いものでした。


安政元(1854)年に医院を養子に譲ったのちは、信濃の伴野村(現在の長野県下伊那郡豊丘村)へ移住し、松尾多勢子(まつおたせこ)の娘に種痘(しゅとう)をしています。

紫陽伴野日鑑

紫陽伴野日鑑 種痘の記録

当館寄託 個人蔵

紫陽伴野日鑑(しようとものひかがみ)」は、馬島靖庵が医師として成熟期のころ、下伊那郡伴野村へ移住した際の文久2(1862)年4月より元治元(1864)年7月までの滞在日記です。


この日記の中に、靖庵が、文久3(1863)年11月20日、松尾多勢子の娘に種痘をした記録が残されています。

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