上八洞石―日本人が発見した希産鉱物

更新日:2025年03月23日

EB24030003 上八洞石

EB24030003

橙黄色部が上八洞石じょうはちどうせき [Johachidolite]。

この鉱物は日本人によって、朝鮮半島北部の咸鏡北道ハムギョンブクト吉州郡キルジュグン長白面ジャンベクミョン上八洞サンパルトンで、1942年に発見・記載されました。鉱物名はこの発見地に由来します。
上八洞はハングルでは상팔동で、サンパルトンと発音しますが、当時は日本の統治下だったため、日本の音読みジョウハチドウからJohachidoliteとなりました。

戦時中の発見で、その後発見地が北朝鮮領内となったことや、他の産地が知られていなかったことなどから「幻の鉱物」でしたが、2000年代以降ミャンマー・モゴク(Mogok)地区からの産出が知られるようになりました。
「幻」ではなくなりましたが、産地も産出量も限られていて、現在も「レア」な鉱物です。

Mogokは、ルビー・サファイア・スピネルなどの宝石産地として知られたところです。上八洞石も宝石質のものが産出しています。上八洞石は硬度が7.5で、石英より硬いので、透明度の高い大粒の結晶は宝石になりうるのです。

上八洞石の化学組成はCaAlB3O7で、ホウ素(B)を主成分とするホウ酸塩鉱物です。ホウ酸塩鉱物には、上八洞石より少し前に同じく北朝鮮で発見された小藤石ことうせき [Kotoite](小藤文次郎にちなむ)や、神保石じんぼせき [Jimboite](神保小虎にちなむ)、逸見石へんみせき [Henmilite](逸見吉之助・逸見千代子にちなむ)など、なぜか日本人ゆかりの鉱物がたくさんあります。


  • 産地 ミャンマー Pein Pyit, Mogok, Mandalay, Myanmar

  • 大きさ 標本左右約1.7cm


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