上八洞石―日本人が発見した希産鉱物

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橙黄色部が上八洞石 [Johachidolite]。
この鉱物は日本人によって、朝鮮半島北部の咸鏡北道吉州郡長白面上八洞で、1942年に発見・記載されました。鉱物名はこの発見地に由来します。
上八洞はハングルでは상팔동で、サンパルトンと発音しますが、当時は日本の統治下だったため、日本の音読みジョウハチドウからJohachidoliteとなりました。
戦時中の発見で、その後発見地が北朝鮮領内となったことや、他の産地が知られていなかったことなどから「幻の鉱物」でしたが、2000年代以降ミャンマー・モゴク(Mogok)地区からの産出が知られるようになりました。
「幻」ではなくなりましたが、産地も産出量も限られていて、現在も「レア」な鉱物です。
Mogokは、ルビー・サファイア・スピネルなどの宝石産地として知られたところです。上八洞石も宝石質のものが産出しています。上八洞石は硬度が7.5で、石英より硬いので、透明度の高い大粒の結晶は宝石になりうるのです。
上八洞石の化学組成はCaAlB3O7で、ホウ素(B)を主成分とするホウ酸塩鉱物です。ホウ酸塩鉱物には、上八洞石より少し前に同じく北朝鮮で発見された小藤石 [Kotoite](小藤文次郎にちなむ)や、神保石 [Jimboite](神保小虎にちなむ)、逸見石 [Henmilite](逸見吉之助・逸見千代子にちなむ)など、なぜか日本人ゆかりの鉱物がたくさんあります。
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産地 ミャンマー Pein Pyit, Mogok, Mandalay, Myanmar
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大きさ 標本左右約1.7cm
中津川市鉱物博物館
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更新日:2025年03月23日