弘三石―長島弘三博士ゆかりの新鉱物 3

更新日:2025年11月15日

ネオジム弘三石

EA99290001 ネオジム弘三石

EA99290001

白っぽい板状の結晶集合体がネオジム弘三石 [Kozoite-(Nd)]。

1999年に承認された日本産新鉱物のひとつで、長島弘三博士の名をとって命名されました。

玄武岩中の空隙に産する希土類元素のネオジム(Nd)を主成分とする炭酸塩鉱物で、希元素鉱物の一種といえます。産地の肥前町は、かつて弘三博士が恩師である木村健二郎博士にちなんで「木村石」と名付けた鉱物の原産地でもあります。

ネオジム弘三石は、はじめは単に「弘三石」という和名で呼ばれていましたが、ネオジム(Nd)をランタン(La)で置き換えたランタン弘三石が発見され、2002年に承認されたことからネオジム弘三石と呼ぶようになりました。

ちなみに、なぜ名字の長島ではなく、下の名前の弘三を鉱物名にしたかというと、父の長島乙吉氏にちなんだ長島石(群馬県茂倉沢鉱山産出)という鉱物が既にあったからです。「長島鉱物コレクション」の寄贈者は、親子それぞれに鉱物名に名を残しているのです。


  • 産地 佐賀県唐津市肥前町新木場

  • 大きさ 写真左右約4mm(結晶幅約1.5mm)


ランタン弘三石

EB02270001 ランタン弘三石

EB02270001

EB02270001 ランタン弘三石(蛍光灯照明下)

(右)蛍光灯照明下で撮影したランタン弘三石

ネオジム弘三石と同じく玄武岩中の空隙に、球状の結晶集合体をなしているのがランタン弘三石 [Kozoite-(La)]。

球状の結晶集合体の中心に近い部分がランタン弘三石で、辺縁部はネオジム弘三石からなります。

弘三石には光によって色変わりするという特徴があり、太陽光(白色光)のもとでは淡いピンク色ですが、蛍光灯で照らすと薄緑色を呈します。


  • 産地 佐賀県唐津市肥前町満越

  • 大きさ 写真左右約2.5mm(結晶径約0.8mm)


参考図書

文献

  • 松原 聰 (2006) 新鉱物発見物語. 岩波科学ライブラリー 115, 岩波書店, 127p.
    ISBN 978-4-00-007455-1
  • Miyawaki, R., Matsubara, S., Yokoyama, K., Takeuchi, K., Terada, Y. and Nakai, I. (2000) Kozoite-(Nd), Nd(CO3)(OH), a new mineral in an alkali olivine basalt from Hizen-cho, Saga Prefecture, Japan. American Mineralogist, 85(7-8), 1076-1081.
    DOI 10.2138/am-2000-0724 [PDFで読む]
  • Miyawaki, R., Matsubara, S., Yokoyama, K., Iwano, S., Hamasaki, K. and Yukinori, I. (2003) Kozoite-(La), La(CO3)(OH), a new mineral from Mitsukoshi, Hizen-cho, Saga Prefecture, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 98(4), 137-141.
    DOI 10.2465/jmps.98.137

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