飯盛石―長島弘三博士ゆかりの新鉱物 1

更新日：2025年05月01日

EA97140040 飯盛石

EA97140040

「15」と記された貼付紙片より上部に見られる黄褐色ガラス光沢の微小な結晶集合体が飯盛石 [Iimoriite-(Y)]。

希土類元素のイットリウム（Y）を主成分とし、炭酸基を含むケイ酸塩鉱物です。福島県・阿武隈山地のペグマタイトから発見された日本産新鉱物のひとつで、加藤昭博士（国立科学博物館）と長島弘三博士による研究で、1967年にIMA（国際鉱物学連合）から新鉱物として承認を受けました（IMA1967-033）。その後、1970年に日本で開催された第7回IMA総会に合わせて当時の地質調査所から出版された『Introduction to Japanese Minerals』という書籍に掲載される形で発表されました。

鉱物名は、日本の放射化学の父とも称され、この地のペグマタイトから多くの希土類元素鉱物を記載した理化学研究所の飯盛里安博士とその子息・飯盛武夫博士にちなみます。

長島弘三博士は、飯盛石の発見により、新鉱物の研究への貢献や顕著な業績に対して贈られる櫻井賞を1975年に受賞しています。

飯盛石の化学組成は、1984年にアラスカ産の標本の分析によって Y2(SiO4)(CO3) に改訂されました。

  • 産地 福島県伊達郡川俣町

  • 大きさ 標本左右約3.9cm

収蔵品データベースで見る

参考図書

文献

  • Foord, E.E., Staatz, M.H. and Conklin, N.M. (1984) New data for iimoriite. American Mineralogist, 69(1-2), 196-199.
    URL GeoScienceWorld [PDFで読む]
  • Hughes, J.M., Foord, E.E., Jai-Nhuknan, J. and Bell, J.M. (1996) The atomic arrangement of iimoriite-(Y), Y2(SiO4)(CO3). Canadian Mineralogist, 34(4), 817-820.
    URL GeoScienceWorld [PDFで読む]
  • Kato, A. and Nagashima, K. (1970) Iimoriite (Y,Ca,Zr)15(Mg,Fe3+,Al)(Si,Al,P)9O34(OH)16. In: Introduction to Japanese Minerals, Geological Survey of Japan, 85-86.
    [PDFで読む]

中津川市鉱物博物館

〒508-0101 岐阜県中津川市苗木639-15
電話番号0573-67-2110
ファックス0573-67-2191
メールによるお問い合わせ