作品紹介「白馬の森」

更新日:2026年01月01日

白馬の森(東山魁夷)

白馬の森(木版画)
本画 (1972):紙本彩色 152.0×223.0cm

東山魁夷画「白馬の森」

青白い森の中に、幻想的な白馬が一頭さまよっているかのように描かれています。「心の奥にある森は 誰も窺い知ることは出来ない」という、魁夷がこの作品に添えた詩文も、鑑賞者を心地よい幻想へと誘うかのようです。この深い森にたたずむ白馬は、とらえようもない自分自身の心をさまよっているのでしょうか、あるいは他者の窺いしれない心の奥底を表しているのでしょうか。

魁夷は1972年、唐招提寺障壁画の作品構想を考えていた時に、ふと「モーツァルトのピアノ協奏曲の第二楽章の旋律が聞こえてきて、一頭の白い馬が針葉樹の繁り合う青緑色の湖畔を横切り、姿を消した」との言葉を残しています。その年の一年間で本制作13点、習作6点、計19点の「白い馬の見える風景」の連作を生み出しました。

「それまでは、風景の中に点景を描き入れないことが私の特色ともなっていたのだから、私自身にも意外であった」と画家自身も語っているように、風景の中に白馬を描いた作品は、制作数や制作時期の点においても、魁夷の画業の中で特異な作品群です。

この連作に登場する白馬は、風景の中を自由に歩き、たたずみ、緩やかに走っていますが、ひそやかに遠くの方に見える場合が多く、決して前面に大きく現れることはありません。むしろ風景の静けさを乱すのを恐れるかのように息づいています。画家は、この白馬について、単純に画面効果のために点景として添えたのではなく、それ自体が主題であり、切実なる「心の祈りの象徴」であると述べています。描いた白馬の意味することを魁夷自身は、明確には言及しておらず、見る人の自由な想像力や心にまかせています。白馬が何を思い祈っているのか、じっくりと問いかけてみてください。

中津川市東山魁夷心の旅路館

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