No.3 付知の森を守る木こり

更新日:2021年08月26日

付知町の付知土建で働く熊田貴則さん。東日本大震災のボランティアで被災地を訪れた際に出会った漁師さんたちの生き方に感銘を受け、第一次産業である林業を仕事にすることを決意し付知町に移住。

付知の森林を守るため、「木こり」として日々森と向き合う熊田さんにお話を伺いました。

インタビューに答える熊田さん

熊田貴則、35歳です。出身は岐阜市です。岐阜市で過ごして大学を出て、岐阜市内の旅行会社に4、5年勤めました。
2011年の東日本大震災の影響で旅行会社がかなり厳しくなって、旅行会社としてできることを考えた時にボランティアツアーをやろうとなりました。東北の漁師さんや農家さんたちと話すと、避難所には行かなくていいよって言ってる人がいて。仕事がなくなっちゃうとかじゃなくて、自分の手に職がついてる人っていうのは強いんだなってすごく思った。それから第一次産業を意識するようになって、岐阜県だったら木がいっぱいあるので林業がいいのかなと思いました。

岐阜市にいて林業をやるのはイメージできなかったので、もう少し森の近くに行った方がいいのかなっていうのは思ってて。同時に田舎暮らしみたいなものも憧れてたというか。知人の紹介で付知を紹介してもらって遊びに来ました。付知に来る道中は、周りが山に囲まれてるので気持ちいいな、すごくいい場所だな、あと川が綺麗だなって本当に思いました。

最初は単純に「木っていいな」ぐらいの感覚だったんですけど、製材屋さんや木工屋さん、建築家の方を紹介していただいて案内してもらう中で、木の歴史って結構奥深いというか。自分が知らなかっただけなのかって思ったんですけど、知らない人って多いと思うんで。もっと林業を知ってもらって、生活にもっと近くなってもいいのかなという風に思いましたね。

チェーンソーで木を切る熊田さん
  • 自然が相手の山仕事

今は付知土建で現場での作業と、その段取り。計画、企画したりっていう仕事も一緒にやってます。市内の国有林事業ですと、ヒノキの苗を植える。あと下刈り。それと鹿に食べられないように柵を張ったり。あとは間伐作業。木を伐って出すっていうこともやってます。
2017年には式年遷宮の前の用材を伐り始める祭事、斧入式に携わらせてもらいました。この地域から伊勢神宮に木を出してるっていうのを知った時点で、すごいなと思ってて。木を斧で伐るのはすごくいい経験でした。

山の手入れがなかなか進んでいない状態に対して、うちの会社では10年ぐらい前に森林部を立ち上げてます。実際、森に携わる人が減ってますし、そんな中で手入れを止めるわけにはいかない。むしろもっとやっていかなきゃいけないなっていうところはありますね。
社長も、付知の山は自分たちで守るって言ってるんです。付知はこれだけ水がきれいですけど、森林と水との関係があると思うので、あまり森林を放置しすぎてても、土砂災害の可能性があるんじゃないかな。手を入れ続けないといけないと思っています。

山に入ると自然が相手なので、心も動いてるっていうか、考えることが常にあって、退屈な仕事ではないですね。天候とか風を気にしたり、状況をみたり、大変ですけど結構面白い仕事だと思うんです。いくらパターンとかマニュアルで覚えても、木は一本一本違う。常に自分で感じないとできないんじゃないかなって。

ツリークライミングの様子
  • 木や森の恵みを伝える

岐阜にいる友達から、毎日楽しそうだね、近所で遊べる環境があるっていいねと言われます。今、上の子が5歳で下の子がもうすぐ2歳になります。上の子が蛭川の森の幼稚園に通っていて、体験することが多いので楽しそうです。子どもに自然を押し付けたいっていうことではなくて、子どもが楽しいんだったらいいかなって思ってます。僕は市外から来てるんで、自分の子どもを見てると羨ましいです。彼らはナチュラルで強いな、たくましいなって。

付知での暮らしは田舎ならでは。例えば野菜もらえたりとか。そういう関係性がすごい助かった。最初の年は結構、1人やで大変やろうって食事に呼んでもらったり。
家族、子どもができると関係性がより広がって、散歩行ってもどこでも声かけてもらったり子ども見とってくれるとか。その感じが僕らは割と合うのかな。気づけば自分も言う側になってるし。

子どもの間伐体験の様子

林業とか森から発信できることはしていきたいし、やっぱり遊びに来てほしいですね。楽しいこと、幸せって何かな、って見える場所だと思うんで。
できるだけ自分で伐った木で家を建てたいなという夢はあります。木の家へ行くと本当に気持ちいい。頑張って建てれば三世代とか住める家だと思うんです。
やりたいことはいっぱいあります。ちょっとでも進められたらいいかなと思っています。
子どもや孫の世代でちょっとずつ動いていくような。木が100年とかのスパンで話がつながるんだったら、僕らもそのくらいでいいのかな。というのも、木を見ると安心する、安心という言葉が幸せなことと直結していると思うし、そういうものにつながっていけばいいですね。効率とかだけで、毎日が忙しくなっていったら山の仕事じゃない。林業と文化的なことは絶対切り離しちゃいけないと思っています。

 

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